指揮者って必要?
指揮者って必要?
なりたい職業アンケートの上位に必ずオーケストラの指揮者(プロ野球の監督も!)があります。確かに見た目はカッコいいですね(実際は色々とあるんですが)でも、そもそも指揮者って必要なんでしょうか? 例えば交響楽団のコンサートで、当然オーケストラ団員はお客様の前で演奏するため、演奏する曲の準備は充分に重ねてきています。それなら最初の合図くらいで指揮者なんかいらないと思いませんか?
結論からズバリいいますが、指揮者はやっぱり必要です。それはなぜか、それは音楽を演奏するためには指揮者のやるべき役割を果たす人間が必ず必要になるからです。
指揮者の役割
指揮者を他の職業に例えると何に当たるでしょう。似た役割を果たすものを思い浮かべると、僕が思い浮かぶ中で一番似ている職種は芝居や舞踏の演出家や映画監督です。そこに共通するのは作品を作っていくために人をまとめていく作業です。同時にその過程の中で色々な決断もしなければなりません。場合によっては最終的に作品を仕上げるためには妥協や犠牲を払うことも、そう思うと政治家や企業の経営者、あるいは軍隊の司令官の姿も浮かんできます、
楽譜はある意味曖昧なもの
つまり大勢の演奏家が集まったオーケストラであれ、カルテットのような数人のアンサンブルであれ、ソロで演奏する場合でも指揮者の役割を受け持つ誰かが(ソロの場合は自分自身)作品を仕上げていく過程では不可欠になるのです。楽譜に書かれていることは多くの場合ハッキリしているようで、実際はいざ実現しようとすると、どうしたらよいか考えなければならない点が多々あります。芝居や映画の脚本でも同じです。作品のイメージ、コンセプトをまとめ全ての奏者に共有させるのが指揮者の立場に立つ者の役目になります。
例えば、台本に
「真夜中の森、闇の中を月明かりだけが冷たく照らしている」こう書かれたト書きから、演出家は舞台をどうつくっていくか、勿論正解なんかありません。
または、楽譜の発想記号に
「Moderato cantabile(中くらいの速さで歌うように)」こうなるともっと大変です。音符の動きを見ながら正しい(と思える)テンポを決めていくしかありません。
リハーサルで
曲を仕上げていく過程は芝居の稽古とほとんど同じです。今演奏している場所は全体の中でどういう役割を果たしているのか、自分は主役なのか脇役なのか、そのキャラクターはどんなものか、そういうことを全員が共有出来るように作品を仕上げていくのがリハーサルで指揮者がやらなければならない最も重要な仕事です。勿論それぞれの奏者は技術的にも曲の要求に対応できるよう準備をしなければなりません。リハーサルは大体この両方が同時に並行して進んでいきます。
じゃあ芝居の稽古と同じなら、
仕上がってしまったら本番で指揮者が舞台に立たなくたって別にいいじゃないか、そう思いますか?
実はそうとも言えないところが音楽というジャンルの面白いところなんですが、、、
関連情報
堀越隆一公式サイト
作曲家、堀越隆一の公式サイト。1976年のデビュー以降、数々の作品を発表する傍ら、編曲、指揮、評論を始め、後進育成の為のアルエム弦楽合奏団の設立、音楽を愛する人に最良の空間を提供するすみだチェリーホールの運営など多岐に渡る活動を展開。最新の活動情報、チケットや楽譜の販売など、随時更新していますので、ぜひお立寄り下さい。
屋号 | 堀越隆一 |
---|---|
住所 | 〒130-0021 東京都墨田区緑3-19-5-103 |
電話番号 | 080-6552-3195 |
営業時間 | 10:00~17:00 |
代表者名 | 堀越 隆一(ホリコシ リュウイチ) |
info@horikoshiryuichi.com | |