堀越隆一公式サイト 作曲家、堀越隆一の公式サイト。1976年のデビュー以降、数々の作品を発表する傍ら、編曲、指揮、評論を始め、後進育成の為のアルエム弦楽合奏団の設立、音楽を愛する人に最良の空間を提供するすみだチェリーホールの運営など多岐に渡る活動を展開。最新の活動情報、チケットや楽譜の販売など、随時更新していますので、ぜひお立寄り下さい。

音色 についての覚書

音色 についての覚書

 

  音色(ねいろ・おんしょく)という言葉からどんなイメージが浮かんでくるでしょう?一義的には、声、楽器の特有の音のことで、それを聞けばあれだなとわかる固有の特徴、人相みたいなものでしょうか。音楽用語ではそれを表現する固有の言葉がないので、色という漢字を使います、楽器、声の特徴を表すために使われ。更に広げれば個々の奏者の音色にまで広がります。

 

 少し踏み込んで言えば音色はその音を発した個々人(奏者)の個性を想起させるものでもあると僕は思います。つまり音色という言葉は音の分類、種分けと同時に個々の奏者の個性を表す言葉としても使われてもいると。 

 

 音色は科学的な解析では波形というもので二次元化して説明されています。でもこう書いていながら僕にはムズムズと疑問が湧いてくるのです。

 

 例えばですが、これを読んでいる皆さんの中にはその人の声の良さ(やはり音色だと思います)でついつい話を最後まで聞いてしまう、あるいはさほど名曲ではなくても(失礼!)その奏者(歌手)の音(声)色で聴いてしまったという体験をお持ちの方はありませんか。

 

 僕には少なからずあります。

 

 

説明できることと、できないことが

 

 科学的には、音色は音の波形で説明されます。あのゴジラの作曲家伊福部昭さんの名著である管絃楽法でも音響についての科学的考察に基づき、各楽器の特徴、オーケストレーションを体系的に捉える上で、波形も重要なファクターになっています。念のため一応断っておきますがこれは本当に世界的な名著です。

 

 現在音響についての解析はコンピューターの力でかなりなところまで、それも驚くほど精緻に解明されていると思いますが、それでも僕にとっては重要な事で説明ができない事柄がまだまだ残っていると思います。

 

猫がピアノの上を

 

「大ピアニストが弾いても、猫が鍵盤の上を歩いてもピアノは同じ音がする」

 

 確かルービンシュタインの言葉だったと思います、うろ覚えで申し訳ありませんが主旨はわかっていただけると思います。

 

 ピアノという楽器はその構造上、誰が弾いても同じ音がする筈です。でも実際ピアノがお好きな方は奏者によって(もちろん猫でも)その音色は実に様々であることは理解いただけると思いますし、それを味わうことがピアノを聴く楽しみでもあると思います。

 

 この違いについては、おそらく波形などの計測のような科学的なアプローチからだけでは説明は出来ないのではないかとぼくは考えています。

 

 勿論他の楽器や声についても

 

人が音楽(演奏)に惹きつけられる要素とは

 

 演奏で我々が惹きつけられる要素とは何でしょう、なにが我々を惹きつけるのでしょう? テクニック、感情の起伏(エクスプレッション)の表出、そして音色。それは今の時点では僕にはわかりません。

 

 いずれ近いうちに何か学問的に(生理学、脳科学等)説明ができるようになるのでしょうか?僕はできないと思います。もしかしたら出来るようになるかもしれませんが、そのときには人間は多分芸術をもう必要としなくなっているんじゃないかなと思いますね。

 

 それが全てではないにしても音色は演奏家にとって大きな武器になります、たとえ万人に受け入れられなくてもあなたには惹きつけられる音色というのが必ずあります。

ついつい聞き入ってしまう声というのもありますね、音楽の場合これは大きな武器になります。演奏の中身はともかくその音を聞いているだけで心地よい、あるいは聞いてしまう。その魅力にハマってしまうともう離れられなくなる。

 

 でも、繰り返しますがそれが全てではないと

 

 単に心地よいだけだと、僕なんかはいい気持ちになって寝てしまいます。(まあそれも悪くはありませんが)

 

 自分の音色を持っているということは演奏家にとって大きな強みですが、それだけでは音楽は成り立たないということも肝心なことです。

 

 音自体には意味はありません。

 

 でもその音の組み合わせで音楽はイメージを形成し「物語」を語ります。

 

 

 

 

 

 

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