民話オペラ「宝蓑」の公演が終わった
民話オペラ「宝蓑」の公演が終わった。
谷川忠博作曲の民話オペラ「宝蓑」の公演が終わった。一つのオペラの公演には歌い手、オーケストラは勿論は背景の大道具や照明、舞踏、合唱団など様々なスタッフが関わる正に総合芸術である。題材によってはエンタティーメントな要素や祝祭的なものも加味されたりし、これがオペラというジャンルが広い階層に楽しまれて来た理由にもなっている。
谷川さんは私たちの演奏を聞き、直々にオファーをくださいました
このオペラの公演に携わることになったのは、3年前アルエム弦楽合奏団の定期演奏会に制作総監督の佐藤征一郎さんが作曲者の谷川忠博さんをお招きしてくださったがのきっかけです。谷川さんは私たちの演奏を聞き、終演後に直々にオファーをくださいました。
僕はオケピットに入って指揮をするのもオペラの合唱の指導をするのも初めての体験でした
今回僕はアルエム弦楽合奏団のスタッフとともに指揮者として参加した。本格的なオケピットに入って指揮をするのも、後述するがオペラの合唱の指導をするのも初めての体験だった。オリジナルの編成は室内アンサンブル(弦楽器は各パート一名)だが、大きな会場という条件も考えて谷川さんと相談し弦楽器を増やしオーケストラの響きに可能な限り近づけました。
僕は本番に向けて全体の仕上げと、公演時の指揮を任せて頂くことになっていたのですが、合唱指揮の常森闘志さんが今年の初めにご自身の体調が悪くなり合唱指導から降板してしまったため急遽、僕自身が今年の初めから合唱の指導も担当することになりました。これは大きな予定外だったことです。
また作曲者の谷川忠博さんもこの8月初旬に逝去されてしまいました
また作曲者の谷川忠博さんもこの8月初旬に逝去されてしまいました。僕は亡くなる前の週までお電話で打ち合わせをしていましたが、御本人もお聴きになることを楽しみにしていたことを思うと大変残念でなりません。そして良い舞台にしなければという決意を新たにしました。
合唱の指導をやり始めてわかったのですが
この作品の合唱のパートはかなり難しく、プロの合唱団でもかなりハイレベルな難しさです。第一の理由はオーケストラに合唱を支えるパートがありません。この時点で市民合唱団が歌うにはかなりハードルが高くなります。そしてオペラのかなり重要な部分で合唱の四声部が対位法的というよりはヘテロフォニー的に独立して動きます。正直にいうと市民合唱団では辛うじて歌うこと(だけ)ができるところまで持って来ても、ステージに乗せることは無理だと思いました。
またこの作品のオケの響きは独特で
管楽器セクションのみで動いていく部分がかなりのウエイトを占めそれがこのオペラに特異な響き与えています。その響きは終幕で融合しトゥッテイの響きに収斂します。
作者の了解をいただいて2幕冒頭のほぼアカペラで歌われる念仏の部分を除いて、この作品の特異な響きを可能な限り殺さないようにしながら、すべての合唱パートにオーケストラの音を割り当てました。この支えがあったとしても合唱パートの難しさには変わりはないのですが、合唱団の皆さんは根気強く練習を重ね、公演当日には見事な舞台を披露しました。大半の方が舞台で芝居をしながら歌うという経験は初めてだったと思います、よく頑張りました!
僕自身は正直ここまでやれるとは思っていなかった。
カルッツかわさきは最近出来た2013席の大きなホールで
今回の編成はむしろ室内オーケストラに近い編成だったので心配していたのですが、ゲネプロで鳴らしてみると実に素晴らしい音響でその心配は杞憂になりました。ただ舞台の奥行きがあまりも広いのでアンサンブルを合わせるのは僕自身大変でした。
合唱を含め関わった全員が気持ちを一つにして公演を成し遂げたと思います
またご来場いただいた皆さんにも大変好評であったということで今はホッとしています。アルエム弦楽合奏団のスタッフも多くの得難い経験ができました。
何より僕自身が大きな勉強ができたことを谷川先生と総監督の佐藤征一郎さんに感謝しています。
堀越隆一公式サイト
作曲家、堀越隆一の公式サイト。1976年のデビュー以降、数々の作品を発表する傍ら、編曲、指揮、評論を始め、後進育成の為のアルエム弦楽合奏団の設立、音楽を愛する人に最良の空間を提供するすみだチェリーホールの運営など多岐に渡る活動を展開。最新の活動情報、チケットや楽譜の販売など、随時更新していますので、ぜひお立寄り下さい。
屋号 | 堀越隆一 |
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