『アルヴォ・ペルト自選プログラム・コンサート』
『アルヴォ・ペルト自選プログラム・コンサート』
1991年4月27日
26日、東京芸術劇場大ホールで『アルヴォ・ペルト自選プログラム・コンサート』を聞く。かなり思い入れ過多の感じがしたが、全体として演奏は良かった。驚いたのは1968年の『クレド』そう思って聞けば、今のペルトの音楽を彷彿とさせる所はあるが、かなりペンデレッキなどポーランド楽派の影響を感じさせる普通の現代 (当時の) 音楽である。このコンサートでは最も最近の作品『フェスティーナ・レンテ』等を聞いていると、ペルトの音楽には聞くものにある種ノスタルジーを感じさせる響きがする( 懐かしい響き) 。音楽の構成、モティーフといったものよりも響き、香り、触覚等、感覚的なものが濃密に漂っている。ペルトの音楽を単純に「古楽のスタイルへの先祖返り」としてみると、この感覚的なこだわりの部分が見えにくくなる恐れがある。寧ろ自分の内面を根源的に見つめ直した結果が彼のカルチャーを背景にしてあの様な音楽になっていったのだろうと思った。