ローリー・アンダーソン“ナチュラル・ヒストリー”
ローリー・アンダーソン“ナチュラル・ヒストリー”
1986年4月12日
初めてこういうコンサートに行ってみたが、色々な意味で考えさせられる物だった。期待していた程、面白くは無かったが、所謂クラシックの演奏会に比べれば、ずっと面白いし(現代音楽の会等は問題外)全てがP.A されていると言うことが逆に非常にリラックスした気分にさせてくれる。そこで演られた音楽自体はむしろ単純な物と言って良いくらいだが、多分そう受け取るべきではないのだ。今、表現芸術は新しい総合化に直面していて、それぞれの分野が、或る未分化の状態を無意識に指向している。 ……そう考えるべきだろう。その中では当然、音楽自体も変化して行くことになる。多分それが“ビート”という言葉で表される物に象徴されている。オスティナートとも違うこの“ビート”という概念をどう掴まえられるかが、今、当面する課題になりそうだ。今、新しいかどうかとか、いわゆる本物性等は少しも重要ではない。軽さと、速度感がその核心にあり、多分それが今一番本質的なことなのだ